画面の向こう側にいる人たち
子どもの頃からゲームとアニメが大好きでした。韓国のアニメ専門チャンネル、トゥーニバースやアニワンを見て育ち、ゲームも物語のある作品に惹かれました。真っ先に思い浮かぶのは『テイルズウィーバー』です。チャプターを進めながら世界観に入り込むのが好きでした。アニメでは、試練を越えて変わっていく人物が魅力的な『カレイドスター』、エドワード・エルリックに惹かれた『鋼の錬金術師』。最近は同じ作者の『黄泉のツガイ』も楽しく読んでいます。
声優をはっきり職業として意識したのは、インターネットで『千と千尋の神隠し』の収録風景を見た時でした。画面の裏側で、こうして人が声を吹き込んでいるのだと初めて知ったんです。ちょうど中学校では、昼休みに放送部の先輩たちがラジオのような音楽番組を流していました。声優への憧れもあって放送部の試験を受け、3年間アナウンサーとして活動しました。
校内放送だけでなくキャラクターも演じたくなり、小遣いで2万ウォンのコンデンサーマイクを買いました。接続方法から録音、編集まで自分で調べ、インターネットの声優同好会で同じ夢を持つ人たちと作品を作りました。収益にはならなくても、公開して反応をもらうことが楽しかった。1年前の録音と比べて声の質感が変わっていることにも気づきました。
当時は中高生が声優養成所に通うことも、オンラインで講義を見ることも今ほど一般的ではありませんでした。アニメを聞いて真似る、ほとんど独学です。録音を続けるうちに「声優になりたい」という気持ちが固まりました。演技系の学科へ進みたいと母に話すと、夢は応援しながらも別の道を用意しておくよう助言されました。そこで声の仕事に近い放送系の学科を選びました。
昼休みのレッスンと、7年間の試験
大学卒業後はテレビ局の報道部でアシスタントディレクターとして働きました。いつまでも両親に養成所の費用を頼れないと思い、仕事と勉強を両立したかったんです。上司の許可を得て、昼食を5分で済ませ、バスでファンスクール瑞草校へ向かい、声優のキム・グァングク先輩からマンツーマンの指導を受けました。熱の入った授業が延びるたび、「先生、遅れたら職場に迷惑をかけます」と残念な気持ちで飛び出したのを覚えています。
放送の仕事は朝早くから夜遅くまで続き、週末まで勉強する体力はありませんでした。それでも報道部で得たものはあります。フロアディレクターとして毎日2回の生放送ニュースを聞き、韓国語の長短音や正確な発音が身につきました。もともとレッスン代を稼ぐために始めた仕事です。必要な貯金をして退職し、そこからはほぼ声優の勉強に専念しました。
応募できる公募試験は、募集が出るたびにすべて受けました。最初は大元放送第5期で、当然のように不合格。その後、韓国の公共放送KBSの試験で初めて一次を通過しました。受かるはずがないと思い、「教室でやってきたように楽しもう」と気楽に臨めたことが良かったのかもしれません。しかし当時の最終試験では、手にした紙を震わせながら見事に落ちました。
続いてトゥーニバースの一次も通り、難しいと言われる最初の関門を続けて越えたことで、すぐに声優になれるのではと少し思い上がりました。けれど一年、二年、三年と過ぎても合格できず、一次さえ通らない時期が長く続きます。「いつかなれる」という楽観は、少しずつ不安へ変わりました。
二十歳で受験を始め、合格した年まで数えると7年です。その間の試験をほぼすべて受けましたが、二次以上へ進めたことは多くありません。大元放送第10期で初めて最終選考まで進み、そこで落ちた時の痛みは一次落ちとはまったく違いました。期待した分だけ挫折も深く、また一年、最初からやり直すことが残酷に感じられました。
それでも落ち込むだけではなく、次の行動へ進もうとしました。大教の声優試験も受け、第11期の時には、これでだめなら翌年は再就職しようと決めていました。その試験に合格し、嬉しくて泣きました。幼い頃から夢見た仕事で生きられる喜びと、この世界で生き残るには気を引き締めなければという思いが同時に訪れました。
声色より先に、言葉の意味を聞く
学生時代は、韓国の放送局KBSやEBSの声優劇会が似合いそうだと言われました。ナレーションを褒められることもあり、KBSにはラジオドラマ、EBSにはドキュメンタリーのナレーションからアニメまで幅広い仕事があるという印象を持っていました。一方、大元放送やトゥーニバースのようなアニメ専門チャンネル運営会社の声優劇会には、個性的でキャラクターを鮮明に表現できる人が向いていると思っていました。自分の声質は平凡だと思っていたので、大元放送に行きそうだと言われたことはほとんどありません。
だからこそ、声色を変えることに執着しました。声優は互いに、自分にないものをうらやむところがあります。私も特徴的な声を作れなければ、キャラクターは完成しないと思っていました。先生たちは、声色ではなく言葉の本質を見なさいと何度も言いました。それでも自分の録音を聞くと、感情や意味より先に、役に合う声かどうかを判断していました。
ある日、その意識を手放して演技だけに集中してみました。すると感情と言葉の意味が見え、表現も自然になった。声を作る訓練が無駄だったわけではなく、今では役に使える材料のひとつです。ただ、なぜこの人が話すのか、誰にどんな思いで言葉を渡すのか。それを先に考えるようになりました。
クロエの疑問符と、マストの意外な口調
『トリッカル』のクロエは、イラストを見た瞬間に丸い頬がかわいいと思いました。高く硬い声を保つ必要があり、私にとって楽な音域ではありませんが、以前の声色の訓練が役立ちました。「狂気」属性と聞いて不穏な人物を想像したものの、実際は人形セバスチャンの声を唯一聞くことができ、周囲に常識的な一言を返す大人びた面もあります。普段のつんとした態度と、弟のようなセバスチャンに向ける愛情の差を意識しています。
特徴的な間投詞は最初から台本にある設定です。高く硬い声から自然に出せて、耳障りにはならない位置を探しました。同じ一言でも、驚き、疑い、呆れでは感情が違います。単なる口癖として繰り返さず、場面ごとに細かな変化をつけています。
ファンが「健康な歯カップ」と呼ぶグッズは、クロエの目と明るい笑顔が側面につながるデザインです。発売時には本当に欲しかったのですが完売してしまいました。仕事として報酬を受け取っているのにグッズまで欲しいと言うのは厚かましい気がして頼めませんでしたが、いつか手に入れたいです。
エピドゲームズが、キャラクターと声優を身近に感じられる「テーマ劇場」を作り続けてくれることにも感謝しています。普段はかわいらしさと突拍子もない笑いが中心の作品ですが、アヤのテーマ劇場「凍りついた君の名の上に」では、エルダインたちが過去の葛藤に向き合います。クロエが積もった感情を爆発させる場面では、難しい声の高さを意識しなくても自然に彼女の言葉が出てきました。その経験をくれた、私にとって大切な役です。
『勝利の女神:NIKKE』のマストは、収録がいちばん楽しいキャラクターです。いたずらっぽい笑顔とツインテールを見て、かわいく元気な少女として準備しました。しかし台本の独特な語尾から、ただの少女ではなさそうだと感じました。現場で求められたのは、声を少し楽な高さへ下げ、海賊に憧れる海軍らしく、港の船乗りのような渋い口調で話すことでした。
かわいい外見に合うのか、ユーザーに受け入れてもらえるのか、最初は不安でした。少し方向を誤れば少女ではなく年配の女性に聞こえるため、制作陣と意見を交わしながら中心を細かく調整しました。公開直後は戸惑う反応もありましたが、次第にその唯一無二の個性を愛してもらえるようになった。今では、企画した方に先見の明があったのだと思います。
マストはオーディションではなく、ボイスサンプルから指名され、現場で一緒に作った役です。スキンやイベントストーリーで何度も会えることも嬉しい。一度きりの収録ではなく、同じ人物の時間を継続して生きる楽しさを教えてくれました。
遊んでいた世界に、自分の声が入る
『原神』はリリース2日目から遊んでいます。勉強や大元放送の専属期間で中断しましたが、フリーになったらHoYoverse作品に必ず参加したいと思っていました。クロリンデのオーディションは、機会を得たこと自体がありがたく、締切まで三つのバージョンを作りました。合格後は稲妻で止まっていたゲームをスメールまで一気に進め、フォンテーヌへ行く準備をしました。
決闘代理人クロリンデは生真面目で隙がない一方、ナヴィアの前では柔らかく、ゲーム好きという意外な面もあります。初登場では機械の軍団を率いる悪役のように見えながら、一撃でそれを斬って旅人たちを救う。その場面の短い息遣いまで、ディレクターと一つずつ丁寧に作りました。
フォンテーヌ編の序盤から登場したものの、プレイアブル化までは長く待ちました。私自身もピックアップを待っていたユーザーです。最初は無凸とモチーフ武器だけのつもりが、2凸が強い、完凸も良いと聞いて引き続け、5凸で止まりました。最後の一人がずっと心に残りました。
復刻時には韓国語版パイモン役のキム・ガリョン先輩が、完凸を配信企画にしようと提案してくれました。ところが始めてすぐクロリンデが出て、用意した尺が消えてしまった。嬉しさと、配信をどうしようという焦りが半分ずつでした。環境が変わった今も、多くの人が再びクロリンデを使う日を待っています。
『ゼンレスゾーンゼロ』のニコル・デマラとは、リリース前に複数の役へ応募できたオーディションで出会いました。候補一覧の前の方にいて、外見も魅力的だったため重要人物に見えました。応募はしたものの、自分が担当できるとは期待せず、ボーイッシュな役や格好いい役も準備していました。ニコル役に決まった知らせは、公募合格に近いほど嬉しかった。期待しないようにしていただけで、心の中ではそれほど演じたかったのだと思います。
私は、向こう見ずでエネルギッシュに叫んだり、つんとした態度を取ったりするコメディー演技が好きです。ニコルがお金のことしか頭になく、邪兎屋の仲間にも金銭面ではけちな態度を取る場面を、どうすればもっと面白く聞かせられるか考えながら、毎回テンションを上げています。一方、仲間が危機に陥り、自分が守らなければと決意する場面では、普段の誇張した声を抑えて真剣に演じました。その差が状況の深刻さを伝えると提案した演技で、後にショート動画になり多くの人に愛されました。私自身も大切にしている場面です。
初期の映像では、ニコルが幼い頃に孤児院にいたことが短く描かれました。しかし、その後一人でどう生き、邪兎屋を作るに至ったのかは、まだ十分に語られていません。インターノットで今の評判を得る前の時間を、私もいつか知りたいです。
『原神』を遊び、クロリンデを収録していた頃、『鳴潮』も大きな期待を集める新作だと知っていました。声優なら有名なゲームや作品へ参加したいと思うものです。私も、この世界に入れたらいいと考えていました。ところがオーディションではなく指名で連絡をいただき、その信頼がかえってプレッシャーにもなりました。同時に、これほど美しい長離の声を任され、公開後に多くの肯定的な反応をもらえたことが、個人的にとてもありがたかったです。
事前に見たキャラクターシートのイラストだけでは、今ほど強い印象を受けていませんでした。しかしゲーム内の長離を見て、イラスト以上に美しく見えるキャラクターがいることを初めて知りました。本格的に妖艶な人物を演じたのも、長離がほぼ初めてです。狐のような目元から色気を強調しましたが、ディレクターは軍師としての知性も忘れないようにと言いました。今の長離は、その二つの方向を合わせて生まれています。
長離は頭の切れる人物であり、今汐の師でもあります。今汐には先生として話し、漂泊者には乗霄山の問題を解決する相手だと確信するにつれ、言葉と振る舞いが少しずつ柔らかくなる。関係ごとの小さな差を意識して演じました。
ミョントックさんとの配信で、ファンが示してくれた愛情も忘れられません。ただ、初期の乗霄山編以来、本編には再登場しておらず、私はまだ二度目の収録ができていません。その後も美しい新キャラクターが続々と登場した中で、長離が人気投票の上位に残っていたことに驚きました。KURO GAMESにも待っている人の多さが届き、再び物語に呼んでもらえたら嬉しい。私もファンと一緒にその日を待っています。
飾らない声で出会ったルミ
『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』のルミは、偶然のようにやってきました。作品の演出を担当したPDとはそれまで接点がなく、この作品で初めて出会いました。別の仕事を終えた録音スタジオのロビーで、ごく短い電話をした時のことです。ルミの声を探していたPDが、中から私の普段の声を偶然耳にしたそうです。その時間、その場所で電話をしたことが運命のようにも感じられました。PDは別のインタビューで、空から声が突然落ちてきたようだったと話していたそうです。
オーディションの時点では題名さえ知りませんでした。台本から、K-POPアイドルと悪鬼を退治する戦士を組み合わせた、これまでにない人物だと想像できただけです。作品全体ではどうまとまるのか気になりました。試写で初めから最後まで見た時は、想像以上に面白く、歌が本当に良いという二つの感想を持ちました。
世界的な人気が想像以上に長く続き、先輩たちから多くの祝福と演技への言葉をもらいました。これほど大きな作品の主役は一生に一度来るかどうかだと思っていたので、あまりに早く訪れたことが今も少し怖い。「実力があったから選ばれた」と言ってくれる人もいますが、私は今も大きな幸運だったと思っています。
公開後には、子どもに聞かせたいのでルミの声で短い個人メッセージを録音してくれないかと、親になった知人たちから何度も頼まれました。録音を送ると、子どもがその声を聞いて喜ぶ様子を親御さんが撮影し、リアクション動画として私に送り返してくれました。私自身も、子どもの頃に画面の中の声優の声を聞き、それを心から愛して育った一人です。今度は自分の声に喜ぶ子どもの姿を直接見られたことが、ありがたく、誇らしく、特別に感じられました。
ルミは、私の演技観が大きく変わり、形を持つきっかけにもなりました。学生時代から声を変えることにこだわり、プロになった後もその癖は完全には消えていませんでした。しかしルミは、PDが偶然聞いた私の普段の声から始まった役です。オーディションから本番まで、声を作りすぎないでほしいと繰り返し求められました。
飾らない声で仕事をした経験がほとんどなかった私には、重要な役なのに化粧をせず素顔で立つような感覚でした。本当にこのままでいいのかと尋ねたこともあります。そこで、韓国で暮らす今の20代女性が実際にどう話すかを考え、楽な声のまま感情と演技に集中しました。すると言葉がずっと自由に、自然に流れ始めました。
キム・イェリム先輩が演じたゾーイ、キム・ドヨン先輩が演じたミラとは、同じ場所で掛け合いをしていません。映画の吹き替えは音響上の理由で別々に録ることが多いからです。それでも完成作ではHUNTR/Xの三人が自然に会話していました。それぞれが別のブースで相手を想像し、自分の役割を果たした結果だと思います。
三人による「Golden」の韓国語カバーは、公開後に出席した同僚の結婚式が始まりでした。作品公開後、三人がほぼ初めて顔を合わせた場で、成功を喜び合ううちにキム・イェリム先輩とキム・ドヨン先輩がカバーを提案しました。歌に自信がない私は断ろうとしました。原作では楽曲が韓国語へ翻案されず原曲のまま使われていたため、韓国語版を出せば多くの人が見るはずだということも、かえって大きな負担でした。
私を動かしたのは、キム・ドヨン先輩の「人の目を気にせず、私たちで楽しく遊ぼう」という言葉です。めったにない作品で、頼れる二人の先輩と一緒なら、その背中に乗る気持ちでやってみようと思いました。それでも何もせずには行けず、収録までの一週間、集中してボーカルレッスンを受けました。
映像編集はキム・イェリム先輩、韓国語詞への翻案はキム・ドヨン先輩が担当しました。キム・ドヨン先輩がその日の夜に歌詞を書いて送ってくれたのを見て、私ももっと頑張らなければと思いました。以前から縁のあったクリエイター、イ・シンヒョクさんは録音からミックスまで快く手伝ってくれました。自分がしたのは歌の練習だけだと感じるほど、多くの人が力を貸してくれた。みんなで楽しんで作ったものだからこそ、多くの人にも喜んでもらえたのだと思います。
作品の中へ、心地よく溶け込む声
私を最も変えたのは、大元放送第10期の最終選考で落ちた経験です。最後の関門まで進んだ分だけ期待が大きく、いちばん深く挫折しました。その一方で、それでもこの仕事を続けたいという愛情と確信も強くなりました。諦めなかった一つひとつの瞬間が努力の一部になり、そこへ良い時期と運が重なったのだと思います。
そうして長離やルミ、『ブルーアーカイブ』のユウカなど、多くの人に愛される役と出会えました。そのキャラクターたちを通して、懸命に生きてきた時間は決して無駄ではなかったと思えるようになりました。失敗が消えたわけではありません。でも、その時間を通ってきた人間だったからこそ、今の機会を受け取れたのかもしれません。
人間シン・ナリの長所を一つ挙げるなら、誠実さです。妥協が苦手で、台本の読み間違いを特に嫌います。録り直せる現場でも、一度の流れで進むことが好きだから、一文字でも多く台本を見る。その性格が、私を声優として働かせ続ける力になっています。
10年後の私は、今を振り返って「本当に何も知らなかったね」と言えるほど成長していたい。今よりずっと多くを知り、できなかったことを笑って話せる人になっていたいです。
ファンには、安心して聞ける声優として記憶されたいです。作品から一人だけ飛び出す声ではなく、その中へ自然に溶け込む俳優。すぐには気づかれなくても、後から「ここにも、あそこにも出ていた。どれも聞き心地がよかった」と見つけてもらえる声優になりたいです。
私もゲームやアニメを楽しむ一人の消費者として始まり、今は作る側の一部で働いています。だから収録のたびに、この作品を見る人がどう感じるかを考えます。韓国語吹き替えを愛してくれる皆さん、そして私のキャラクターを特別に愛してくれる皆さんが、これからの物語にもっと深く入り込めるように。私もその人物を一緒に愛し、責任を持って演じ続けます。
